何故、彼の離職を引きとめることができないのか?

コーディネーターブログ

前回のブログ(平成30年9月7日)では、ハーツバーグ教授の理論である「組織で働いている人の動機づけ要因」をご説明しました。

今回は、どのようなことが不満足の要因となるのか(衛生要因)を説明します。

 

(2) 衛生要因 =人々に不満を起こさせる要因

次のことは不満の種になり、それが充足されたにしてもモチベーションが高まらないとされています。寧ろ充足されて当然と感じるのです。逆に充足されないと、不満足感に作用してしまうので注意が必要です。

 

① 会社の方針・管理

会社の経営方針、管理体制や組織構造などを社員に充分に説明して、理解を得るように努めることが必要となります。会社の基本となる経営方針を社員が理解しなかったら、モチベーションが高まらないどころか反発してしまうということです。「わが社は従業員を大事にする」という人事方針を宣言することも重要となります。

 

② 監督者との関係

上司との関係がうまくいかないとモチベーションが下がります。離職の原因の多くが社内での人間関係の悪さと答えています。社内のコミュニケーション、上司と部下との信頼関係が重要となります。

 

③ 労働条件・給与

給与が高いことはモチベーションの高揚には単純にはつながりません。逆に、給与はある一定レベル(業界での標準や熊本県地域の平均値など)よりも低いとモチベーションの低下になります。

 

④ 同僚との関係

監督者との関係と同じく、同僚との関係もうまくいかないとモチベーションは低下します。要点は社内の人間関係を如何にうまくするのかでしょう。

そして、結果的には、社員の人間レベルの向上、即ち社員教育・人間教育が必要になると思われます。如何に優秀な人を雇用しても途中の人材教育が充実していないと優秀さが結実しません。これは、あたかも、優秀な種子を購入して肥料豊富な土にその種子を撒いたにしても、途中での水やり、追肥、剪定、袋掛けなどの管理をしないことには大きなおいしい果実はできないことに似ています。

 

⑤ 個人生活

個人の生活が充足しないとモチベーションは高まりません。朝出勤前に夫婦喧嘩をして出社した経験のある人ならわかるでしょう。朝の不愉快さの余波が仕事にも影響を与えるのです。「個人の生活」は、「会社の仕事」があるからこそ成り立っているとの考え方もありますが、必ずしも真ではないと思われます。

個人の生活が充実していてはじめて、会社の業務をモチベーションを持って進めることができるともいえます。会社の仕事と個人生活は、車の両輪と考えます。

 

⑥ 部下との関係

これは、監督者や同僚との関係と同じでしょう。

 

⑦ 身分保障

身分保障のひとつは雇用の安定です。期間の定めのある雇用契約(パートタイマー)では、雇用期間が終わって生活の糧を失うことがわかっているのならばモチベーションは高まらないでしょう。「どうせ辞めるのだから。」 という気持ちが起こります。正社員も同じで会社の売上高が減少していて、身分保障が揺らいで、いつリストラにあうのかわからないのであれば、当然モチベーションは下がるでしょう。社長はリストラはしないと宣言し、ワークシェアリング(仕事の分担)を行い、会社全体で危機を乗り越えるようにしなければなりません。

今年(平成30年)4月から、それまで5年間の有期雇用契約を更新してきた従業員が、6年目にはいり申し出れば無期雇用にしなければならなくなりました。モチベーションのアップには有効と考えます。

 

以上のことは充足して当然という項目です。充足されないと、逆に不満が急激に増加してしまうということです。

 

熊本県よろず支援拠点 コーディネーター 原川 修一

 

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