事業譲渡 その3
コーディネーターの高野です。
前々回、前回と同様にA社がB社のc事業の譲渡を受けた例です。
事業譲渡契約締結の際、B社のc事業に関する負債をA社が引き継ぐのが通常ですが、当然に引き継ぐわけではありません。
引き継ぐかどうかはA社とB社の協議により定めますし、B社の債権者の同意を得る必要もありません。
B社の債権者は、A社がB社のc事業に関する負債を引き継がなかったため、B社からの回収が困難になることもあります。
このような場合、B社の債権者は、A社にどのような請求ができるでしょうか。
A社は、B社の債務の承継しておりませんので、B社の債権者は、当然にはA社に対して支払うよう請求することはできません。
しかし、会社法22条は、事業の譲受会社(A社)が譲渡会社(B社)の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社(A社)も譲渡会社(B社)の事業によって生じた債務を弁済する責任を負うと定めています。
商号を続用している場合には、債権者が営業主の交替を知ることが困難であったり、譲受会社(A社)が当然債務を引き受けたと債権者は考えますので、そのような債権者の信頼を保護するためです。
最高裁平16.2.20判決は、ゴルフ場の事業が譲渡され、譲渡会社が用いていた名称を譲受会社が続用しているときには、譲受会社が譲受後遅滞なくゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り、会社法22条1項が類推適用され、譲受会社は、当該ゴルフクラブの会員が譲渡会社に交付した預託金の返還債務を負うと判示しています。
詳しくは、当拠点もしくは弁護士会中小企業法律支援センター(0570-001-240)にご相談ください。
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